バレンタインデーといえば、職場での「義理チョコ」が定番だったが、近年その風潮が大きく変わりつつある。男女ともに「義理チョコは不要」と考える人が7割を超え、経済的な要因も後押しして“義理チョコじまい”が加速しているようだ。
「義理チョコは不要」7割超、バレンタインの意識変化
バレンタインデーといえば、恋人だけでなく職場の上司や同僚に「義理チョコ」を贈るのが習慣だった。しかし、今やこの文化が大きく変わりつつある。日本生命が男女1万2000人を対象に行った調査によると、職場での義理チョコについて「必要ではない」と答えた人は、女性が70.8%、男性が73.6%にのぼった。特に20代を中心に「義理チョコは面倒」「わざわざお金を払ってまであげる必要はない」という意見が目立つ。
また、男性側からも「お返しに気を使うのが大変」「義理チョコをもらっても甘いものが苦手だから困る」といった声が挙がっている。これまで義務的に行われていた義理チョコ文化は、もはや多くの人にとって負担でしかないのかもしれない。
物価高とカカオ豆の価格高騰、バレンタイン予算にも影響
義理チョコ離れの背景には、経済的な理由もある。今年のバレンタインデーにおけるチョコレート購入予算の平均は4574円で、前年より9%減少。特に義理チョコにかける金額は大幅に減っているという。
その原因の一つが物価高だ。例えば、「板チョコレート」1枚の平均価格は、2022年1月には100円以下だったが、2024年12月時点では約150円と、わずか3年で1.5倍に上昇。主原料であるカカオ豆の不作が価格高騰を招いており、チョコレート自体の値段が上がっている。こうした状況を受け、「義理チョコをやめて、本命チョコやご褒美チョコにお金をかけたい」と考える人が増えているのも納得だ。
バレンタインは「特別なチョコ」へ、シンプル化が進む
義理チョコを廃止する動きは、年賀状やお歳暮・お中元を簡略化する流れと似ている。ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は「仕事関係者へのプレゼントは減少傾向にある。義理チョコ文化の衰退や物価高の影響で、贈る相手を厳選する傾向が強まっている」と指摘する。
その一方で、「本命チョコ」や「自分へのご褒美チョコ」は引き続き人気が高く、高級ブランドのチョコレートや限定品に注目が集まっている。今年のバレンタインデーも、“義理よりも特別”を重視する傾向がさらに強まりそうだ。
- 「義理チョコ不要」派が男女ともに7割超
- 物価高やカカオ豆の価格高騰でチョコの値段が上昇
- 職場のバレンタイン文化が年賀状・お歳暮の簡略化と同じ流れに
- 「義理チョコじまい」より「本命チョコ」「ご褒美チョコ」へシフト
- バレンタインの楽しみ方が変化、シンプル化の傾向が続く
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