トランプ大統領の新たな関税政策が発表され、世界経済への影響が懸念される中、仮想通貨市場にも不安が広がっている。特にイーサリアム(ETH)は市場心理の悪化を背景に下落リスクが指摘されており、関連銘柄のドージコイン(DOGE)にも影響が及ぶ可能性がある。
トランプ大統領の新関税が市場に与える影響
トランプ大統領は2月10日、新たな関税政策を発表し、米国への鉄鋼・アルミニウム輸入に対し25%の追加関税を課すことを明らかにした。この発表を受け、金融市場ではリスク資産からの資金流出懸念が高まり、仮想通貨市場にも影響を及ぼしている。
貿易摩擦が激化すると、投資家はリスク資産よりも安全資産へとシフトする傾向にある。ビットコイン(BTC)は「デジタルゴールド」としての側面を持ち、一部の投資家にはリスクヘッジ手段として選ばれる可能性があるが、イーサリアム(ETH)やドージコイン(DOGE)のようなアルトコインは投機的な資産として見なされることが多く、影響を受けやすい。
この発表の翌日、米株式市場ではS&P 500とダウ平均が0.46%上昇したが、仮想通貨市場は軟調な動きを見せた。ビットコインは1%未満の小幅上昇にとどまり、ETHやSOL、XRPは大きな値動きがなかったものの、バイナンスコイン(BNB)は4.5%下落するなど、市場全体の不透明感が増している。
イーサリアムにさらなる下落リスク?
一部のトレーダーは、イーサリアムが特に大きな影響を受ける可能性があると指摘している。2024年にはビットコインとイーサリアムの価格比率が2021年以来の低水準にまで下落しており、これは市場がETHよりもBTCを優先する傾向を示している。
また、シンガポールのQCP Capitalは、「トランプ氏の発言が市場に与える影響が継続する限り、仮想通貨市場の変動は大きくなる」と指摘。特にETHは、2023年11月の急騰分をほぼ全て失い、市場心理が冷え込んでいると分析している。
さらに、投資家のインフレ懸念が強まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが2025年には1回しか行われないとの見方も出ている。金利が高止まりすることで、仮想通貨のようなリスク資産は引き続き圧力を受ける可能性がある。
今後の展望:ビットコインは安定も、ETH・DOGEには警戒感
仮想通貨市場全体を見ると、ビットコインは一定の安定感を見せているが、ETHやDOGEには厳しい状況が続くと予想される。投資家の間では、「ビットコイン対その他の資産」という構図が強まっており、BTCが市場全体の流動性を吸収する動きが続いている。
SignalPlusのアナリスト、オーガスティン・ファン氏は「ETHのロングポジションは減少傾向にあり、市場のセンチメントも悪化している。L1(レイヤー1)ブロックチェーンの新たな材料が出てこない限り、イーサリアムの低迷は続くだろう」と指摘。一方で、ドージコインのようなミームコインは、ETHと連動する傾向があり、ETHの動き次第ではさらに影響を受ける可能性がある。
今後の市場動向は、トランプ政権の貿易政策やFRBの金融政策次第となるが、仮想通貨市場にとって2025年は波乱の一年となるかもしれない。
- トランプ大統領が新たに25%の関税を発表し、市場の不安定要因に
- 仮想通貨市場では、BTCが堅調な一方、ETH・DOGEなどのアルトコインは軟調
- 投資家のリスク回避傾向が強まり、ETHはさらなる下落リスクを抱える
- FRBの利下げが限定的となる可能性があり、リスク資産全体に影響を及ぼす
- BTC優位の市場が続き、ETH・DOGEの動向には慎重な姿勢が求められる
【補足情報】
- ドナルド・トランプ(Donald Trump)
米国第45・47代大統領。2025年に新たな関税政策を発表し、市場に影響を与えている。 - イーサリアム(Ethereum/ETH)
ビットコインに次ぐ時価総額第2位の仮想通貨。最近の市場動向では低迷が続いている。 - ドージコイン(Dogecoin/DOGE)
ミームコインの代表格であり、ETHと連動した動きを見せることが多い。 - 米連邦準備制度理事会(FRB)
米国の中央銀行。市場の金利政策が仮想通貨市場にも影響を及ぼす。
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