世界最大のステーブルコインUSDTを発行するTetherが、2024年の純利益を130億ドルと発表。ビットコインと金の価格上昇が収益を押し上げ、同社の財務基盤はさらに強固なものとなっています。
130億ドルの純利益を計上、Tetherの強固な財務基盤
Tetherは1月31日、2024年のグループ全体の純利益が130億ドルに達したと発表しました。同社によると、収益の主な内訳は米国債およびレポ取引からの70億ドル、ビットコイン(BTC)と金(ゴールド)の含み益からの50億ドル、その他の投資からの10億ドルとなっています。Tetherは現在、世界で最も流動性の高いステーブルコインUSDTを発行しており、その裏付けとなる準備資産の規模も拡大中。監査法人BDOイタリアが公表した最新の財務報告書によると、Tetherグループは総資産1,437億ドルに対し、負債1,366億ドルを保有しており、70億ドルの超過準備を維持していることが確認されました。
BTC・金の価格上昇がTetherの収益を押し上げる
Tetherの収益成長を後押ししたのは、ビットコインと金の価格上昇です。同社は2024年第4四半期にビットコインの保有量を8万4,000BTC(約78億ドル)まで増加させ、2023年3月以降初めて買い増しを行いました。ビットコイン価格は昨年大きく上昇し、Tetherの含み益を押し上げる結果に。また、金の価格も上昇し、これにより50億ドルの評価益が発生しました。さらに、同社の準備資産の大部分を占める米国債保有額は945億ドルに達しており、金融市場の変動にも耐えうる強固な財務基盤を確立しています。
Tetherの今後とエルサルバドルへの本社移転
2025年に向け、Tetherはさらなる事業拡大を計画しています。同社は規制強化を背景に、本社をエルサルバドルへ移転する方針を発表。エルサルバドルはナイブ・ブケレ大統領の主導により、ビットコインを法定通貨として採用した仮想通貨フレンドリーな国として知られており、多くのブロックチェーン企業が拠点を移す動きが加速しています。一方で、欧州ではMiCA(暗号資産市場規制)により、一部の取引所がUSDTの取り扱いを停止する動きも見られ、Tetherの市場戦略には引き続き注目が集まります。
- Tetherは2024年の純利益を130億ドルと発表し、過去最高を記録。
- 収益の内訳は、米国債からの70億ドル、BTC・金の含み益50億ドル、その他10億ドル。
- 同社のビットコイン保有量は8万4,000BTC(78億ドル相当)に増加。
- 余剰準備金70億ドルを確保し、945億ドルの米国債を保有。
- 本社をエルサルバドルへ移転予定、欧州ではMiCA規制の影響でUSDTの取り扱いが縮小。
【補足情報】
- Tether(テザー)
世界最大のステーブルコイン「USDT」を発行する企業。仮想通貨市場における流動性供給の中心的存在。 - USDT(テザー)
米ドルにペッグされたステーブルコイン。時価総額は1,400億ドルを超え、仮想通貨取引の主要決済手段。 - MiCA規制(Markets in Crypto-Assets Regulation)
EUにおける暗号資産市場の包括的な規制。USDTを取り扱う取引所が一部制限される可能性がある。 - エルサルバドルのビットコイン政策
2021年にビットコインを法定通貨として採用。Tetherを含む多くの仮想通貨企業が拠点を検討中。 - BDOイタリア(監査法人)
Tetherの準備資産の監査を担当。最新のレポートでは総資産1,437億ドル、負債1,366億ドルと報告。
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