フィリピンのギャンブル業界が過去最高の収益を記録する見通しです。一方で規制強化も進行中。華やかさと影の両面から成長を支えるこの産業に迫ります。
電子ゲーミングが収益を牽引
フィリピンのギャンブル業界は、2024年に総収益6.03億ドル(約6兆円)に達する見込みです。この成長の大きな要因は電子ゲーミング分野の拡大にあります。Philippine Amusement and Gaming Corp(Pagcor)のアレハンドロ・テンコ会長によると、2023年比で23%増という驚異的な伸びを示しています。マニラのカジノリゾートは「アジアのラスベガス」とも称され、Universal EntertainmentやMelco Resorts & Entertainmentといった大手が運営する統合型リゾートが、特に中国や韓国からのハイローラーたちを惹きつけています。
一方で、電子ゲーミングは国内外からのプレイヤーを取り込む上で重要な要素となっています。特に高額ベットを伴うギャンブルが、この分野の成長を支えています。
規制の強化とPOGO撤廃の動き
同時に、フィリピン政府はギャンブル規制を大幅に強化。フィリピンオフショアギャンブル運営者(POGO)のライセンス撤回が進められています。2023年11月末時点で48社あったPOGOライセンスは、12月15日までにゼロになる予定です。この動きは、フェルディナンド・マルコス大統領による指示に基づくもので、犯罪抑制を目的としています。
特にPOGO関連で報告された人身売買、誘拐、拷問、詐欺といった犯罪が問題視されており、政府はこれ以上のリスクを回避するため厳しい対応を取っています。POGO禁止後も国内のギャンブル収益は堅調で、むしろ規制強化が長期的な安定をもたらすと予測されています。
ギャンブル業界の未来
2025年以降、フィリピンのギャンブル産業は規制と成長のバランスを見極めながら新たな局面に突入する見込みです。電子ゲーミングや高級リゾートが収益の柱であり続ける一方で、透明性の向上や持続可能性の確保が課題として挙げられます。
Pagcorは、収益目標を超える勢いを示しつつも、社会的責任を果たす姿勢を打ち出しています。新たな規制の枠組みが国内外のプレイヤーにどのような影響を与えるのか注目です。マニラが「アジアのラスベガス」として世界にどのような存在感を示し続けるのか、今後も目が離せません。
- 収益見込み:2024年のギャンブル収益が6兆円超で過去最高を記録予定。
- 電子ゲーミング:収益成長の牽引役。2023年比で23%増を達成。
- POGO禁止:犯罪抑制を目的にすべてのライセンスを撤回。
- 主要ターゲット:中国、韓国、日本からのハイローラー層。
- 未来の展望:規制と収益拡大を両立しつつ持続可能な成長を目指す。
【補足情報】
- Pagcor:フィリピン政府が運営するギャンブル規制機関。
- アジアのラスベガス:マニラの統合型カジノリゾートエリアの別称。
- POGO(フィリピンオフショアギャンブル運営者):中国向けオンラインギャンブルサービス。2024年末までに撤廃。
- Universal Entertainment:マニラで統合型リゾートを運営する日本企業。
- Melco Resorts & Entertainment:マカオを拠点とするカジノ運営企業。
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