「フィクションではなかった」— 2023年に話題となった医療漫画『脳外科医 竹田くん』の作者が、実は自身が描いた医療事故の「被害者の親族」であることを明かした。ネット上では驚きと共に、「真実を描いていたのか」という声が飛び交っている。
『脳外科医 竹田くん』のモデルは実在の医師だった?
2023年1月にスタートし、社会派のテーマを扱うことで注目された漫画『脳外科医 竹田くん』。脳神経外科の医師・竹田が繰り返し手術ミスを起こす姿をリアルに描き、多くの読者を驚かせた。しかし、その「モデル」とされる医師、松井宏樹被告が2024年12月に業務上過失傷害の罪で在宅起訴されたことで、作品の背景が再び大きな話題となっていた。
『脳外科医 竹田くん』は2023年7月に第142話まで掲載され、その後更新が途絶えた。その間、松井被告が関与したとされる医療事故の報道が増えるにつれ、ネット上では「漫画の作者は実際の被害者なのでは?」という憶測が飛び交っていた。そして、2025年2月5日夜、ついに作者自身が「声明文」を発表。そこで明かされたのは、驚くべき事実だった。
作者は「被害者の親族」— 驚きの告白
突如投稿された声明文の中で、漫画の作者は「私は2020年1月22日に赤穂市民病院で発生した医療過誤の被害者の親族です」と告白。この事故は、当時74歳の女性が脊柱管狭窄症の手術を受けた際、担当医が誤って神経を損傷させ、患者が下半身麻痺の後遺症を負ったというものだった。
被害者家族は、担当医である松井被告を刑事告訴すると同時に、病院を運営する赤穂市に対し、約1億1500万円の損害賠償請求訴訟を起こしている。作者は「私は当事者や関係者から直接情報を得られる立場にあり、驚くべき事実を詳細に記録した」と述べ、漫画の内容が単なる創作ではなく、実際の事件をモチーフにしていたことを明らかにした。
また、作者は「物語のテーマを伝えるために比喩的な表現を用いたことはあるが、実際の医療事故を誇張する目的での脚色は一切行っていない」と強調。多くの読者が「フィクション」と思っていた作品が、事実に基づいた内容だったことに、衝撃を受けている。
フィクションと現実の境界線が崩れる— 今後の展開は?
この告白により、『脳外科医 竹田くん』は単なる創作漫画ではなく、実際の医療過誤事件を記録した「ドキュメンタリー」とも言える作品になった。SNSでは「現実がフィクションを超えてしまった」「まるで告発漫画だったのか」といった反応が相次いでいる。
一方で、松井被告の裁判が進む中、この作品の内容が法的な証拠として扱われる可能性も議論されている。被害者家族としての視点から描かれた漫画が、医療事故の検証や社会的議論に与える影響は計り知れない。
今後、作者がさらなる声明を発表するのか、あるいは裁判の行方とともに新たな情報が明かされるのか、多くの関心が寄せられている。
- 医療漫画『脳外科医 竹田くん』の作者が、実際の医療事故の被害者の親族だったと告白。
- 作品は2020年の赤穂市民病院での医療過誤事件を元にしており、実際の出来事を忠実に描いていた。
- モデルとされる医師・松井宏樹被告は、2024年12月に業務上過失傷害の罪で在宅起訴された。
- 作者は「誇張や悪意のある脚色は一切していない」と強調し、漫画の信憑性を主張。
- 事件の裁判の行方次第では、作品が法的な証拠となる可能性も浮上している。
【補足情報】
- 『脳外科医 竹田くん』
2023年1月よりHatena Blog上で連載された医療漫画。2023年7月に第142話まで公開。 - 松井宏樹被告の医療事故事件
2020年、赤穂市民病院にて手術中に神経損傷を起こし、患者が後遺症を負う。2024年12月、業務上過失傷害の罪で在宅起訴。 - 赤穂市民病院
兵庫県赤穂市にある総合病院。過去に複数の医療事故が報道されている。
Leave a Reply