MLB(メジャーリーグベースボール)は、ベテラン審判パット・ホバーグを賭博規定違反で解雇した。彼自身が試合を操作した証拠は見つからなかったものの、野球を含むスポーツへの大規模な賭けが発覚し、その処分が下された。
完璧な審判から一転、違法賭博でキャリア終了
パット・ホバーグ氏(38)は、2014年にMLBデビューし、2017年からフルタイムの審判として活躍。特に2022年のワールドシリーズ第2戦では、すべてのストライク・ボール判定を正確に行う「審判のパーフェクトゲーム」を達成し、名声を得ていた。しかし、2025年2月、MLBの調査により、彼が違法な賭博に関与していたことが発覚。これにより、リーグからの解雇が決定した。
MLBの調査によると、ホバーグ氏は2024年1月にスポーツブック(賭けサイト)のアカウントを開設し、第三者のアカウントを通じて賭けを行っていたことが判明。彼のデバイスを使用して行われた賭けは合計417回に及び、総額は487,475ドル(約7,200万円)、最終的な損失額は53,189ドル(約800万円)に達した。これに加え、別のブックメーカーでも112回の賭けを行い、222,130ドル(約3,300万円)の賭けで21,686ドル(約320万円)の損失を出していた。
野球への賭けは8回、試合操作の証拠はなし
MLBの調査では、ホバーグ氏自身が直接野球の試合に賭けた証拠は見つからなかったが、彼の友人を通じて野球への賭けが少なくとも141回行われていたことが判明。そのうち、ホバーグ氏自身が審判を務めた試合に関する賭けは8回あり、特に注目を集めたのが以下の事例だ。
- 2021年4月13日(三塁審判):シンシナティ・レッズに3,000ドル賭けるも損失。
- 2021年8月15日(球審):ロサンゼルス・ドジャースに3,200ドル賭け、5,200ドルの勝利。
- 2021年10月8日(ポストシーズン・三塁審判):サンフランシスコ・ジャイアンツに5,000ドル賭け、9,300ドルの勝利。
- 2021年10月30日(ワールドシリーズ・リプレイ審判):ヒューストン・アストロズに3,000ドル賭け、損失。
このような賭けが発覚したものの、MLBは「ゲームの結果を操作した証拠はない」とし、ホバーグ氏が八百長に関与した可能性は否定した。しかし、リーグの厳格な賭博規定に違反したことから、彼の解雇が決定された。
ホバーグ氏の反応と今後の影響
解雇を受け、ホバーグ氏は声明を発表。「私は今回の判断ミスについて全面的に責任を負う」としつつも、「私は野球の試合に直接賭けたことはなく、また第三者に試合情報を提供したこともない」と潔白を主張した。また、「私は常にスポーツの公正性を最優先に考えてきた」と述べ、試合の操作には関与していないことを強調した。
MLB審判の労働組合「メジャーリーグ審判協会(MLUA)」もこの決定を支持。「もし我々のメンバーが野球に賭けていたことが明確であれば、組合としては一切擁護しない」とし、MLBの処分に異議を唱える考えはないとした。
今回の件は、MLBにとって「賭博スキャンダル」として歴史に残る事件となった。近年、スポーツ界では違法賭博に対する監視が強化されており、MLBもスポーツの公正性を守るため、審判や選手の賭博行為を厳しく取り締まっている。今後、他のスポーツでも同様のケースが発覚する可能性があり、さらなる波紋を広げそうだ。
- MLBの審判パット・ホバーグが、賭博規定違反により解雇された。
- 彼自身が野球に賭けた証拠はなかったが、第三者を通じて8回の試合賭けが行われていた。
- 合計で数十万ドルの賭けを行い、最終的に約75,000ドルの損失を出していた。
- MLBはゲームの操作はなかったと結論付けたが、規定違反として厳格に対応。
- ホバーグ氏は声明で「試合操作はしていない」と強調し、潔白を主張。
【補足情報】
- MLB(メジャーリーグベースボール)
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- 世界最高峰の野球リーグ。選手や審判の賭博行為は厳しく禁じられている。
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- パット・ホバーグ
- 2014年にMLBデビューし、2022年のワールドシリーズで完璧な判定を記録。
- 賭博規定違反が発覚し、2025年にMLBから解雇。
- メジャーリーグ審判協会(MLUA)
- MLBの審判を統括する組織。ホバーグ氏の解雇を支持。
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