Meta(旧Facebook)がメタバース事業に注ぎ込んだ資金は、過去4年間で約700億ドル。しかし、いまだに収益化の兆しは見えない。そんな中、Reality Labsのトップが「2025年が最も重要な年」と述べた内部メモが流出。この1年がMetaの未来を決める分岐点となるのか?
2025年、Reality Labsにとって「最も重要な年」
MetaのVR/AR部門であるReality Labsは、2024年第4四半期に過去最高の収益を記録したものの、同時に過去最大の損失も計上した。現在、Metaは次世代コンピューティングプラットフォームとしてARグラスやメタバースを開発しているが、その成功にはまだほど遠い。
そんな中、Reality Labsの責任者であるアンドリュー・ボズワースCTOが昨年11月にチームへ送った内部メモが流出。彼は「2025年がReality Labsにとって最も重要な年」とし、「現在の製品ポートフォリオは過去最高のラインナップだが、特にMR(複合現実)分野での販売、リテンション(継続利用)、エンゲージメントを高めなければならない」と述べている。さらに、Metaのメタバースプラットフォーム「Horizon Worlds」のモバイル展開が成功しなければ、長期的なビジョンは実現不可能だと強調した。
このメモの内容から、Reality Labsが2025年に明確な成果を上げなければ、これまでの巨額投資が「伝説的な失敗」となる可能性があることが示唆されている。
メタバースへの投資は続くが、結果は出るのか?
MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグも、2025年を「分岐点」と位置づけている。「2025年が、数億、数十億人にAIグラスを普及させる流れを作る年になるのか、それとも長期戦を強いられるのかを決める年になる」と語った。
しかし、MetaのARグラスの商業モデルは、まだ市場に登場していない。初の製品が2027年に発売される可能性があるものの、それが成功する保証はない。メタバース市場自体がまだ発展途上であり、多くのユーザーがVR/AR技術を日常生活に取り入れるまでには長い時間がかかると予想される。
さらに、MetaのCFOであるスーザン・リー氏は、投資家向けの説明会で「2025年もReality Labsへの支出は増え続ける」と発言。これは、メタバースやAIグラスの開発が依然として長期的なプロジェクトであり、短期的な利益を生み出す見込みが薄いことを意味している。
Metaの未来は2025年に決まるのか?
Reality Labsが10年以上にわたりメタバース技術の開発を続けてきたものの、未だに「世界を変える」レベルのインパクトを生み出せていないのは事実だ。投資額は膨らみ続けており、投資家の忍耐も限界に近づいている。
ボズワースCTOのメモには、「2024年はReality Labsにとって過去最も成功した年だったが、それだけでは足りない。まだ世界に爪痕を残せていない」との記述がある。この言葉が示す通り、Metaが2025年に明確な成果を示せるかどうかが、今後の方向性を決定する重要なポイントとなるだろう。
- Metaは過去4年間で約700億ドルをメタバース事業に投資しているが、未だに収益化できていない。
- Reality LabsのCTO、アンドリュー・ボズワース氏は「2025年が最も重要な年」とするメモを流出。
- MetaのARグラスは2027年に市場投入予定だが、普及には長い時間がかかる見込み。
- MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏も2025年を「分岐点」と位置付け、投資家の期待と圧力が高まる。
- 投資家からのプレッシャーも強まる中、Reality Labsが2025年に確かな成果を出せるかが注目される。
【補足情報】
- Reality Labs:MetaのVR/AR部門で、Oculus QuestやRay-Ban Metaなどを開発。
- Horizon Worlds:Metaが提供するメタバースプラットフォーム。モバイル版の展開が鍵となる。
- アンドリュー・ボズワース(Andrew Bosworth):MetaのCTOであり、Reality Labsの責任者。
- マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg):MetaのCEO。メタバース事業に巨額投資を続けている。
- スーザン・リー(Susan Li):MetaのCFO。2025年もReality Labsへの支出が増加すると発言。
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