「無期懲役」は、永遠に続く生き地獄か、それとも加害者への恩赦か。殺人事件で家族を奪われた遺族の苦しみと怒り、その声が語るものとは。
無期懲役の現実と遺族の苦悩
日本の刑法で最も重い刑罰は「死刑」、その次にくるのが「無期懲役刑」です。無期懲役囚の多くが獄死する現状では、無期刑が実質的な終身刑と捉えられていますが、被害者遺族にとってはこの刑の存在そのものに大きな違和感があります。加藤裕希さんの妻と娘2人が殺害された2015年の熊谷6人殺害事件では、1審で死刑判決が下されたものの、2審で無期懲役に減刑されました。加藤さんは「この手で殺してやりたい」という言葉を絞り出すほど、加害者が生き続けることに対する怒りを抱いています。
仮釈放制度と遺族の不安
無期懲役刑には、再び社会に戻る可能性を残す「仮釈放」があります。仮釈放の判断には被害者遺族の意見が反映される手続きが存在しますが、遺族の声がどこまで届くのかには疑問が残ります。北口忠さんの娘、聡美さんを失った事件でも、無期懲役囚が将来仮釈放される可能性があることに対して、「娘を奪われた者としては到底納得できない」と語ります。仮釈放される可能性がある限り、遺族にとっては永遠に終わらない苦しみが続きます。
刑罰の狭間にある深い溝
死刑と無期懲役の間には埋めることのできない「生と死」の溝があります。死刑囚は毎日が死と隣り合わせで過ごす一方、無期懲役囚は明日も生きることが許される。この「生きる」ことに対する許しが、遺族にとっては受け入れがたい現実です。北口さんのように「せめて終身刑が欲しい」という願いが出てくるのも無理のないことです。被害者の命を奪った加害者が無罪放免される可能性が少しでもある限り、遺族の心の中には怒りと絶望が続くのです。
- 無期懲役刑の存在が、遺族にとっては加害者の生存を許すものとして受け止められる。
- 仮釈放制度がある限り、遺族の不安と苦しみは終わらない。
- 「死刑と無期懲役」の間の溝が深く、遺族にとっては埋めることのできない差が存在する。
【補足情報】
- 加藤裕希さん: 熊谷6人殺害事件で妻と娘2人を失った遺族。
- 熊谷6人殺害事件: 2015年に埼玉県熊谷市で発生した殺人事件。犯人はペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者。
- 北口忠さん: 娘の聡美さんを殺害された事件の遺族。加害者が無期懲役を受けた。
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