中国政府が違法オンライン賭博への取り締まりを強化している。2024年の摘発では、4,500の違法ギャンブルサイトを閉鎖し、73,000件の越境賭博事件を捜査。さらにはフィリピンやカンボジアを拠点とする犯罪組織の摘発も進めている。国際的な犯罪ネットワークとの闘いは、新たな局面を迎えている。
中国政府、違法オンライン賭博に本格的なメスを入れる
中国公安省は2024年、国内外にまたがる違法オンラインギャンブルの取り締まりを強化した。その結果、73,000件の越境賭博事件が捜査され、4,500の違法賭博プラットフォームが閉鎖されたと発表された。これにより、中国のギャンブル産業に関与する大規模な組織犯罪ネットワークが浮き彫りになった。
特に注目されたのは、フィリピンを拠点に活動していた「DCグループ」という組織の摘発だ。DCグループは中国人プレイヤーをターゲットにした違法オンラインカジノを運営し、中国国内で違法なマーケティングや金融取引を行っていた。公安当局は、これらの犯罪グループに対する長期的な捜査を続け、最終的に45の越境ギャンブルシンジケートを解体し、11,000人以上を逮捕するに至った。
資金の流れを遮断、ギャンブル関連の金融ネットワークも徹底封鎖
違法オンライン賭博の温床となっていたのは、地下銀行やオンライン決済システムの悪用だった。中国政府は、違法な送金を可能にするネットワークを特定し、これを遮断する取り組みを進めている。
特に、中国国内外を結ぶ違法な資金移動の仕組みとして、ライブストリーミングを利用した賭博、違法なオンライン宝くじ、さらには仮想通貨を使った送金が問題視されていた。公安当局は、これらの取引を支える決済プラットフォームを特定し、摘発を進めるとともに、ギャンブル関連の資金の流れを完全に断ち切る措置を講じた。
また、中国政府は、海外のギャンブル拠点となる都市や国を「ブラックリスト」に追加し、中国人が渡航しないよう警告を強化している。特に、カンボジアやフィリピンなどの東南アジア諸国では、ギャンブルに関連した詐欺や犯罪が多発しており、中国人が標的にされるケースも少なくない。そのため、これらの地域との法執行協力を強化し、容疑者の引き渡しや共同捜査を進める方針を打ち出している。
国際協力を強化、中国の違法ギャンブル対策はどこへ向かうのか
2024年、中国はカンボジアでの違法ギャンブルや詐欺に関与した中国人1,200人を本国へ送還する大規模な作戦を2回にわたり実施した。これは、海外に逃亡した犯罪者を追跡し、中国国内の法制度で裁くための取り組みの一環である。
公安省の声明によると、中国政府は今後も国際的な協力を強化し、違法ギャンブルの撲滅に向けた取り組みを続けるという。外交部の報道官である林健(Lin Jian)氏は、「オンラインギャンブルや電信詐欺との戦いは長期的なものになるが、中国は近隣諸国と連携しながら、より厳格な法執行を行う」と述べている。
さらに、中国国内でも違法賭博の危険性について啓発活動が強化されている。政府は、国民にギャンブルのリスクを認識させるため、各種メディアを通じた広報活動を展開。犯罪手口を公開し、違法賭博への関与を防ぐための施策を推進している。
中国政府の強硬な姿勢からは、今後もギャンブル関連の取り締まりが続くことが予想される。越境犯罪や違法な資金取引が厳しく規制される中、国際的なギャンブル市場にも影響が及ぶ可能性が高い。
- 中国政府は2024年に違法オンライン賭博を大規模摘発し、4,500の違法サイトを閉鎖
- フィリピンを拠点とする「DCグループ」など、越境ギャンブル組織45件を解体
- 地下銀行や違法決済ネットワークを遮断し、ギャンブル資金の流れを徹底規制
- カンボジアから1,200人の中国人容疑者を本国送還し、国際協力を強化
- 政府はギャンブルの危険性に関する啓発活動を展開し、国内外の取り締まりを継続
【補足情報】
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中国公安省(Ministry of Public Security)
中国国内の治安維持を担う機関。違法賭博の取り締まりを強化している。 -
DCグループ
フィリピンを拠点とし、中国人をターゲットにした違法オンラインカジノを運営していた犯罪組織。 -
カンボジアでの送還作戦
中国政府が詐欺やギャンブル犯罪に関与したとされる中国人1,200人を本国送還した取り組み。
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